輪郭線を使わず、色で面を塗り分けて描くのが、“主線なし”イラスト。
ゲーム『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』(スクウェア・エニックス)の
ゲーム内イラストを担当した人気急上昇中のイラストレーター、ア・メリカが
“主線なし”イラストの「考え方」から「描き方」までわかりやすく解説します。
・Adobe Photoshop、Adobe Photoshop Sketchで使える、
ア・メリカ特製の専用カスタムブラシがもらえる!
・桃太郎創作ファンタジー「少年モモタの冒険」をテーマに、
計10枚以上の描き下ろしイラストをメイキング形式で解説
・完成イラストのレイヤー付きPSDファイルをまるごと配布
・“主線なし”イラストの4つの要素をわかりやすく解説
輪郭線を使わない、主線なしイラストを描いてみたい人、
新しいイラスト表現を知りたい人におすすめの一冊です。
ア・メリカ
イラストレーター。
サンフランシスコのAcademy of Art Universityを卒業。
株式会社サイバーエージェントにてデザイナーとして勤務。2018年よりフリーランスとして独立。
絵本のようなタッチで描く「やさしく、かわいい」世界観のデフォルメイラストがTwitterで話題となる。
国内外のゲーム・グッズ制作・子ども向けの作品を主に手がけている。
代表作は、『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』(スクウェア・エニックス/PS4・Nintendo Switch)ゲーム内イラスト、
『Pikuniku(ピクニック)』(Sectordub/Nintendo Switch・PC)メインビジュアル、
『ヘンゼルかグレーテル』(アークライト/ボードゲーム)アートワーク・ブックデザインなど。
Twitter:@amelicart
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とっと郎 –
タイトルに記入したとおり特典のカスタムブラシはクリスタやプロクリエイトでも使用可能です。利用規約では商用利用不可となっています。ただ、Boothで『Amelicart Brush 2022 | Free for Commercial Use ア・メリカブラシ2022 | 商用利用可』というページがありそちらで購入する事で商用利用も可能になります。
本の内容に関しては、『絵の絵本』といった感じで、形の捉え方や光や影の表現の仕方をかわいいイラストとともに学べます。なんとなーく眺めるだけでも学びがあります。
ちなみに作者がやっているPhotoshop+クリッピングマスク+調整レイヤー+レイヤーマスクの塗り方は、ある程度デジタルイラストの機能がわかる人でないと上手く呑み込めないかもしれません。この塗り方はクリスタでも可能です。
けんけん –
もちろん線画がやり尽くされたとは思わない。だが、エッジを明確に感じ取ることができない健常者の目にとって、白黒の漫画で新しいことをやるのは至難の技だ。その多くはすでに出ている優れた作品の模倣であり、現在のアニメ、漫画の世界におけるほとんどの絵は他人の絵の模倣と味付けから成り立っている。
油絵やパステルの絵は本来、下書きしたものを塗りつぶしながら色だけでエッジを表現するものであり、残念ながらそうした手法はこの60年ほど置き去りにされてきた。線画の方が手早く色々表現できる、とにかく速く、色つけしないでも表現できたことは大きい。
だが、線画+カラーのアニメ、漫画の絵は出尽くして久しいと言って過言ではない。せっかく色を塗っても輪郭すなわちエッジが邪魔するからであり、線画の方が模倣である以上そこに一切の個性は生まれない。これは線画に対する色つけが積極的に行われるようになった当初から言われていたことであり、いつのまにか黙殺されていた事実でもある。
しかし、時代は過ぎて以前はなかった絵の飽和現象が起きている今、ついに絵に線が入らない時代に戻ってきたのではないか。
これはむしろ素人にこそ歓迎される時代ともいえる。当たり前のことだが、常人はありとあらゆるものを輪郭で強く捉えてなどいない。色盲優生理論すらある線画の世界は、実は一般人が見ている世界と全く違うのだ。他の人が書けない線画を描いている人は、本当にそう見えているのである。そうでなければそれは気がつかれずに誰かの模倣をしているに過ぎない。つまり、そこを真似してはいけない。
我々は、我々が普通に見える色を駆使して、見えるままのものからデフォルメして行かなくてはいけない。
デフォルメの線は型にはまっていても、その元となるものの線は意識しない方がいいのだ。だって、本当は世界のどこにも輪郭線など存在しないのだから。それは脳が獲物をロックオンするための記号であったとしても、目が本当に感じているものとは全く別物なのだ。
これが、どれだけアニメが一般的になっても最終的に全ての人が決して受け入れない理由となっている。
そこで、線画なしのアートへの回帰である。
難しくゴチャゴチャ書いたが要はこの描き方は、ある意味とても自然な描き方なのだ。
試しにこの本の絵を手に取って、その絵をしっかりと見た後に、現実の世界を見るという作業を何度か繰り返してみて欲しい。
そうすると、なんでもないように見えていた絵が、実は人生のたからもののようにずっと心に残り続けることがわかるだろう。
そう。リアルの世界にはエッジが存在しない。それはあくまで我々の脳が捕食するためにターゲットを捕捉する時に使っている脳の構造であって、そのラインを他人から与えられると人はそれを偽の情報と感じてしまうのだ。
だから嫌いな作家の漫画は1ページも読めないのである。
なぜドット絵の方がイメージを豊かにするのか、と悩んでいた人は、むしろドット絵には線画がないからだということにこの本を読んだら気がつくはずだ。そして、線画が入ったドット絵はドット絵ではないと思うようになるだろう。マリオのドット絵があれだけ多くのイメージを生んだのは、自然なことなのだ。僕らの脳はそれぞれがあのドット絵を見て、各々の想像が線画としてその輪郭を脳の中に捉えたのだ。つまり、現代のゲーム業界の衰退は、実はドット絵ではなく、線画を取り入れてしまったことから来ている。線が人々の想像力を根こそぎ奪ったのだ。
これは仕方がない。なぜならば作っている人たちも線を描かなかったのではなく、描くことが出来なかったからである。
ところがこの描き方ならば、どんな下手な人が描いても下手くそだなあ?と思われたとしてもそこから目を離されることはないだろう。なぜならばその下手くそな絵ですら人間の脳が勝手に輪郭を補足し、その絵を理解するからである。
素人にとってこれほどありがたいことはない。そこに線がないことで、捉え方に対する上手い、下手への感想がゼロになるからなのだ。もっと酷くいうならば、下手くそな絵というものすら存在しないことになる。
自然がいかに見るに耐えないものだとしても、それが絵として下手くそと思う人がいるだろうか?同じことなのだ。輪郭をとらえるのは読者の力に任せれば良いのだ。
こんな当たり前の描き方をどうして今のアニメは捨てているのだろう?それはとても不思議なことだ。
この本はパステル調の線画なしの絵の描き方の本である。油絵調はそもそもiPadには向かない(と思うのだが実は海外の人では頑張ってやっている人いて、まあとても真似できない)し、またこのツールを使った絵の描き方として現状この本を上回る本は出ていない。
線画は結局模倣と努力とありえない才能の結晶なので、本では教えられない。線画はあなたが色盲ならばぜひ試してみたい技法だが、なんといっても全体の5%だから。色盲で才能がある人には、ただの才能は絶対に勝てない。
何より、奇妙にプロ化して、どれも似たような絵になってしまっている現状のアニメ絵は素人には敷居が高すぎる。
もっと自由にデザイン、もっと自由に物語を作っていく上で、この描き方は一つの方向性を示すことになるだろう。
絵に興味がある素人にこそ、この本を紹介したい。つまらない模倣でほとんど代わり映えのないものの優劣に対して時間を割いていたことが、きっと馬鹿らしくなるだろう。
世界はこんなにもさまざまな色で彩られている。それが自分の絵に昇華される可能性をこの本は大きく示唆している。
多くの人が諦めていたアートの世界に、スルリとこの本は引き込んでいくだろう。
ドット絵と共に、こうした描き方がもっと広まっていけば、アニメやゲームの世界は今のくだらない固定された世界から大きく飛躍することだろう。monument valleyや、おじいちゃんの記憶を巡る旅を超えるような作品が、日本から出てくることを願う。
AZUser –
本書で紹介されている工程はPhotoshopですが、調整レイヤーが肝ですので、クリスタでも同等の工程で作業できると思います。作者が紹介している色=光=遠近感の考えを習得していきたいですね。
付録で作者の方が使っている、Photoshopのカスタムブラシが配布されています。
こいつはクリスタでも利用できるようになりました。(2020/12/10のアップデート)
早速試してみましたが、うまくいきそうです。
ブラシのサイズの調整は、「粒子サイズ」のパラメーターを変更すると良さそうです。
うにかぼちゃ –
表紙のような絵を描きたい人にはとても参考になる。付属ブラシはPhotoshop用らしいが、アプデされていればクリスタでも使える。そのブラシの書き味がとても素晴らしい。
ぽん –
イラストレーターの教本系は、いまいちなことも多いですが、こちらはとても役にたちました。
主線なしイラストを描かない方でも、お絵かき初心者でも
物を単純化して描画する技術、遠近感をだすために物を重ねる、フラットな画面に情報量を増やす方法など、学べることは多くあると思います。
一通り学ぶと複雑な景色もなんだか描ける気持ちになります。付属のブラシもとても重宝しています。
るい –
実際のイラストでの説明なのでとてもわかりやすかったです!
yyymmm –
まさに絵が描きたくなる一冊です。
主線のないイラストのコツを網羅しており、影のつけ方から構図、配色まで学べます。
ただし、kindle版を買いましたが、紙媒体の方が良かったかな、と思う点も。電子書籍は画質に限界があるので、イラストを拡大するとどうしてもぼやけます。かさばらないという利点に興味がない人は紙がいい気がします。
AZUser –
たくさん絵を描いている人にはきっと参考になるのだと思いますが、私のようにこれから描いてみようレベルの方にはピンとこないのではないかと思います。
でも、真似をして描いてみたら何かわかるんじゃないかとも思っています。
まずは書くことを癖にしようと思います。